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2019/09/04
  • 校長の声

No.34 立ちどまり、振り返る

2学期始業式。あいにくの雨でしたが、元気な顔がそろいました。リハビリ中だった3年生のRさんも、式の前にわざわざ校長室に姿を見せてくれました。

式では単純な話と短い話をしました。

単純な話とは、1学期末の読書会で取り上げ、前々回(No.32)に紹介した『スイミー』についてです。泳ぎ続けるスイミーが一回だけ泳ぎをとめて(立ちどまって)、大きな魚の暴力に怯える赤い小魚たちの声を聴いて、その心中を察し、どうしたものかと考え抜きます(「スイミーは考えた。いろいろ考えた。うんと考えた」)。そして、以前はみんながバラバラでいたために自分以外がマグロの餌食になってしまった過去を振り返って、今度はみんなで力を合わせて大きな魚の形を作ることにして、安心して泳ぐことができたという、あの話です。

今年度の学校教育目標「自分を知る。そのために、自分をしっかり振り返って、新しい一歩を踏み出そう」「他者を知る。そのために、周りの人の肉声だけでなく、心の声も聴くようにしよう。」「社会を知る。そのために、視野を広げて、みんなで力を合わせられるようになろう」を振り返ることができました。夏休みの振り返り・これからの振り返りをポートフォリオに残せるように、としめくくりました。

短い話とは、夏休みを振り返った後、行事の多い2学期を明るく楽しい学期にしよう、の呼びかけだけ。最後にもう一度『スイミー』に戻って、みんなで大きな魚になったとき、だれよりも速く泳げたスイミーが一番遅い魚の泳ぎに合わせたことと、自分だけ色が黒くて自分だけ外の海を知っている個性を生かそうと、魚の目になって先導役を買って出たことを確認。       「みんなでする」。しかし、誰かがするのを待つのではなく、「自分がする」。「みんなでする、自分がする」2学期にしよう、という短い話でした。

式辞では触れなかったことを補足します。長田弘さんの「立ちどまる」という詩です。

      立ちどまる

 立ちどまる。

足をとめると、

聴こえてくる声がある。

空の色のような声がある。

 

「木のことば、水のことば、

雲のことばが聴こえますか?

「石のことば、雨のことば、

草のことばを話せますか?

 

立ちどまらなければ

ゆけない場所がある。

何もないところにしか

見つけられないものがある。

 

  

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