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2018/06/20
  • 校長の声

No.9 箸の持ち方

アメリカ・シアトルのホ-リ-・ネ-ムズ・アカデミ-校からの留学生(11名と職員2名)が来校しました。本校がニュ-ジ-ランドとアメリカに短期・長期の研修・留学のために持っている提携姉妹校の一つです。

来校初日、家庭科の授業で本校生に混じって調理実習をしてもらいました。メニュ-は「鯛めし(北条風と宇和島風)・五色そうめん入り潮(うしお)汁・かき揚げ」でした。包丁捌きもさることながら、箸を上手に持つ人がいることに驚きました。特に学校図書館司書のアンナ・セブリ-さんのは「上手」を超えた「きれいな」所作でした。

『万引き家族』のパルムド-ル受賞で一躍名を馳せた是枝裕和監督に『そして父になる』という作品があります。病院で取り違えられた新生児を6年後に実父母同士のもとに戻し合う話なのですが、ハンサム福山雅治演じるエリ-ト父親が町の電気屋さんで育てられていた「我が子」の箸の持ち方を注意して直そうとする短いシ-ンがありました。「むずかしいな」と思いました。箸の持ち方でもなく、注意の是非でもなく、箸の持ち方に「何か」の違いを見てしまうことへの自己省察のむずかしさ、です。箸も鉛筆も「正しく」持たせたい。どういう持ち方が「きれいな」持ち方なのか、「きれい」を感じ取れる目は育てたい。でもそこに「何か」の違いを見て「矯正」してやろうとすることは?

セブリ-さんが箸の持ち方をどこでどう習得されたにせよ、そこには学ぶこと(「学ぶ」はもともと「真似ぶ」と同義――)への、ご自身の関心と意欲がきっと働いていたはずです。

 

                    

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