- 校長の声
No.7 花言葉・花の言葉
先週水曜日、華道部員が2回目のお花を持ってきてくれました。
校長室はいつも小西シスタ-が投げ入れで飾ってくれているのですが、華道部員は違った趣きの盛花を運んできます。初回の「五月の風」はアヤメが鮮やかでしたが、今回の「梅雨の始まり」はフトイに芍薬(シャクヤク)とソリダコを配した作品でした。月曜日の朝、芍薬の一輪が見事に花開いていました。ご覧ください。
アヤメは菖蒲や杜若(カキツバタ)・イチハツと、芍薬は牡丹との対比でよく知られていますが、フトイは? 私には初めての名前でした。調べると「太い」ではなく「太藺=太い藺草(いぐさ)」だとありました。花言葉には「肥大」や「無分別」もあるから贈り物には要注意とも。
鷺沢萠(さぎさわめぐむ)さんの「ほおずきの花束」の授業で、ほおずきの花言葉の「欺瞞」「偽り」にこだわる感想を書く生徒がいました。ほおずきの殻の色の変化とともに中の実も熟してゆく過程を思春期の少女の心(ほおずきの殻はハート形!)の成長に重ねた作品です。花言葉よりは実物を自分の目で!見ているうちに花の言葉(声)が聞こえてくるほどに!
幸田文さんの『木』はお薦めです。15の小品の中に「藤」があります。植木市で娘のねだる最高級品の藤を買わなかった私は父(幸田露伴)に「多少値の張る買物であったにせよ、その藤を子の心の養いにしてやろうと、なぜ思わないのか、その藤をきっかけに、どの花をもいとおしむことを教えてやれば、それはこの子一生の心のうるおい、女一代の目の楽しみにもなろう」ときめつけられる。娘は「花を見ても、きれいだというだけ、木を見ても、大きな木ねというだけ」「話しても説いても、心が動かないよう」に育った。「そのまま娘は人のもとへ縁付いた。孫がうまれた時、この子は草木をいとおしむ子になれと、ひそかに祈った。」「けれども、私のおもわくはがらりと外れた。いいほうに外れたのである。思いがけないことに、娘の夫は花を好み、木を育てようとする人だった。(略)意外な感じがしたのだが、もっと意外だったのは、そういう夫につれて娘もしみじみと花をみつめ、芽をいとおしむ気をもったことだった。ほっとして、私はもう孫のことも安心した。」
花の声を聞こうとするほどの優しさが、言わずとも人の心を動かしていたのでしょう。
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