- 学校行事
令和8年度 入学式
4月9日、令和8年度の入学式が行われました。
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<校長式辞>
桜の季節が廻り来ると、日本社会の此処彼処に新しい息吹を感じます。その主役の一人は、15歳の皆さんです。今年の桜は、正に皆さんの成長を祝う花です。中学校の卒業を祝って開花し、高等学校への入学を祝って満開となりました。皆さんが眺めた今年の桜を今一度思い浮かべながら、私の話に耳を傾けてください。
聖カタリナ学園高等学校への入学、おめでとう。教職員一同、心から歓迎しています。
保護者の皆様、お子様の本校へのご入学、誠におめでとうございます。学園はお子様のさらなる成長を願い、そのための努力を惜しまぬ所存です。本校の教育活動にご理解を戴くと共に、ご協力をお願いいたします。
また、ご来賓の皆様方、ご多用の中、ご臨席を賜り誠にありがとうございます。日頃からのご支援とご協力に対しまして、改めて厚くお礼申し上げます。
ときに私たちは、有名人の遺した言葉や古くから伝わる諺に元気づけられたり、進むべき方向へのヒントをもらったり、の経験をよくします。例えば、ここ数か月の皆さんは、「努力は裏切らない」といった言葉に励まされ、受験勉強のしんどさを克服してきたはずです。エネルギーを宿す文言にタイミング良く出会うと、その後の生活に大きな効果を生むことがあります。そこで私は、これからの3年間、皆さんに伝えておきたい言葉を折に触れて紹介して行きますが、ここに二つの言葉を選びました。
先ずは、河井寛次郎という高名な陶芸家が遺した言葉です。「鳥の選んだ枝、枝の待っていた鳥」。この言葉の意味するところは、何となく解るのではないでしょうか。「鳥の選んだ枝、枝の待っていた鳥」。
私はこの言葉を過去に何度か使わせてもらいました。それは、結婚式のスピーチにおいてです。新郎と新婦の関係を鳥と枝になぞらえてお話ししました。結婚の約束は、最終的には自分達の意思に依りますが、しかし、出会いまでの過去を遡ると、自分の意思とは全く関係のない状況に行き着きます。その時点から出会いまでの経過は少し難しいのですが、カトリックの教えにもある「摂理」という表現があてはまるように思います。
「皆さんが選んだ学校、学校が待っていた皆さん」。今日を起点としてお互いの出会いに、喜びを深め合う関係でありたいと願っています。
次に、もう一つの言葉を紹介します。それは「不易流行」という四文字熟語です。俳人松尾芭蕉が俳諧の理念を表したものですが、今では、時が経っても変わらないこととその時代のはやりを指して使われています。
「流行」については、生徒の皆さんに全面的に任せます。青春時代にこそやるべきことがあり、青春時代でしかできないことがあります。その多くにおいて流行がありますから、それを逃してはいけません。私のような年齢になると、それをキャッチするアンテナがありません。だから、この点は皆さんに任せるしかないのです。
しかしながら、その時に気を付けたいことがあります。実は、流行には足を踏み入れない方がよい場所とか場合、手に入れない方がよい道具や方法があるので要注意です。例えばSNS、これは今の時代の最たる流行と言えますが、そこに潜む危うさは皆さんもよく知っている通りです。
実は、その見極めをするときに大事なのが「不易」です。つまり、時代を超えて、時代がどのように変遷しても、人として持っていなければならないことや忘れてはいけないもの、それが「不易」です。不易の不は、不足とか不自由の不、易の訓読みは易しいですから、「不易」とは容易には変わらないものであり「流行」の反対語と言えます。色々なジャンルにそれぞれの「不易」があるのですが、今の皆さんに一番大事だと思うものをひとつ伝えておきます。それは「やさしさ」です。
少し前に出版された本ですが、私の言葉よりも分かり易いので引用させてもらいます。加藤諦三という社会学者の著した『やさしい人』という書中の一節です。
「今の日本、あまりにやさしさがない。そして、あまりにもやさしさが尊ばれない。今の日本に必要なのは石油ではなく、やさしさである。人はやさしくなれれば、生きることは楽になる」と書かれています。ことばを替えると、けなし合ったり、悪口や告げ口をし合ったりしていると、それは自分の生活を苦しくしてしまうばかりだ、ということです。そして、著者は、「幸せになるためには、社会的に成功するための努力をするよりも、やさしい人になる努力をする方がはるかに有効である」と結んでいます。
既に皆さんは「やさしさ」の大事さを中学生時代から知っていますが、これから先はもっともっと大事な言葉として忘れないでください。私たちが強く、そして楽しく生きていくためのキーワード、それは「やさしさ」です。
以上、本日の入学式では、二つの言葉を紹介しました。ひとつは、著名な陶芸家の遺した言葉「鳥の選んだ枝、枝が待っていた鳥」。そしていま一つは、俳人松尾芭蕉の言葉である「不易流行」。それぞれに多少の難しさがあるのですが、高校生となった記念日である今日、記憶の隅に留め置いてほしいと願っています。
最後に、本校は昨年5月、創立百周年行事を行い、「百年一新」のスローガンのもと、新たな百年への一歩をしるし始めたばかりです。皆さんはその原動力となる重要な学年です。明日からの学園生活において、中学時代とは違う行動力と判断力を存分に発揮してください。友人との交流を広げ、より深めてください。皆さん一人ひとりが、本学園の生活を通して、さらに大きく成長されることを期待し、そして、確信して入学式の式辞とします。
令和八年四月九日
聖カタリナ学園高等学校
校長 芳野敬三
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